「私が黒雅さんに焦がれていたのなら兎も角、そうじゃないでしょう。」
確かに黒雅さんの手紙によって脳内を乱されていた事は、強ち間違いではないけれど、來玖さんの言い方ではニュアンスがだいぶ違ってくる。
「どっかのふざけた害悪野郎の為に時間を割いたのなら何だって一緒だ。
焦がれていたわけじゃない?冗談じゃない。焦がれていたのなら、とんだ恋煩いだ。煩わし過ぎて反吐が出る。」
心底嫌そうに表情を歪ませている。
だからその考えこそが間違いだというのに。
「勘違いよ。そもそも私と彼の間に色恋は一切ない。誓うわ。
あの人が愛しているのは、愛せるのは過去も今もこれからもお姉ちゃんだけなの。
その思いが届かなくて二人は苦しんでる。三年間も。一日も、一秒も変われないでいるの。
私だってそうよ。訳も解らない憤りに襲われて、お姉ちゃんを見るたびに苛々して。
こんなのってもうたくさん。私達決着を着けなきゃいけない。
そのチャンスが今此処に在るの。」
必死の弁解は伝わるだろうか。
過去の、今の、これからの、私達の為に彼の理解が必要だった。
「…解ったよ。
その代わり、
背後の足音には気を付けて。」
私の前髪をスッと撫でて微笑んだ彼に、溜め息で応えた事は言うまでもない。
確かに黒雅さんの手紙によって脳内を乱されていた事は、強ち間違いではないけれど、來玖さんの言い方ではニュアンスがだいぶ違ってくる。
「どっかのふざけた害悪野郎の為に時間を割いたのなら何だって一緒だ。
焦がれていたわけじゃない?冗談じゃない。焦がれていたのなら、とんだ恋煩いだ。煩わし過ぎて反吐が出る。」
心底嫌そうに表情を歪ませている。
だからその考えこそが間違いだというのに。
「勘違いよ。そもそも私と彼の間に色恋は一切ない。誓うわ。
あの人が愛しているのは、愛せるのは過去も今もこれからもお姉ちゃんだけなの。
その思いが届かなくて二人は苦しんでる。三年間も。一日も、一秒も変われないでいるの。
私だってそうよ。訳も解らない憤りに襲われて、お姉ちゃんを見るたびに苛々して。
こんなのってもうたくさん。私達決着を着けなきゃいけない。
そのチャンスが今此処に在るの。」
必死の弁解は伝わるだろうか。
過去の、今の、これからの、私達の為に彼の理解が必要だった。
「…解ったよ。
その代わり、
背後の足音には気を付けて。」
私の前髪をスッと撫でて微笑んだ彼に、溜め息で応えた事は言うまでもない。



