両親だけなら良かったのに、世間すら姉を放っておく気はない様で、「憧れ」を示す者に至っては見飽きたくらいだ。

過保護過ぎる、と当の本人は嫌がって見せるけど、此方からしてみれば羨ましい限りで、嫉妬の対象であり、
「いいよね、お姉ちゃんは、大事にされて!お姉ちゃんさえ居ればいいなら私なんか産まなきゃ良かったんだ!」と卑屈にもなりたかった。

父の海外への転勤が決まり、母も向こうへと転居する事となった。
勿論両親は娘も一緒に、と考えた様だが、そこに私は含まれているのか、定かではない。

実際両親の猛反対を押し切り、日本に残る事となった姉は、父の兄である叔父さんが管理するマンションへ、
すんなりと了承を得て、日本に残る事となった私は、不動産屋巡り、という現実である。

両親や姉とは決して不仲なわけではなかった。
けれど、両親の異常なまでの姉に対する執着と、世間の眼差しは
「シスターコンプレックス」をすくすくと成長させるには十分な事柄だった。