「教えてくれてありがとう。
でも何で躊躇したの?」

「うーん。分かんない。
なんとなく、かな。
輪廻先輩の事見てるとさ、まぁあんな事があってから三年…って言っても簡単に忘れられる事じゃないし、それどころか!それはもう引きずりまくってるじゃない?
彼に会いたい、だけど何かが引っ掛かる、みたいなさ。
まだ時期じゃないのかなって。
知らない方がいいのかなって。」

同感だった。
事実、この話を姉にしようかどうしようか私は迷っている。
姉が黒雅さんの影に焦がれてこの三年間を生きてきた事は知っている。
けれど二人が接触する事によって生じる何かに、少なからず私とて怖いと思っていた。

柚子姫ちゃんに気付かれないように、出来るだけ浅く溜め息を吐いた。
ココに来てのコレかぁと肩が重くなるのを感じる。

そして今私が一番に考えている事。

ほら、やっぱり姉の存在は何処に居たって付き纏う。

嫉妬だ。僻みだ。
解っている。
それでも私だって、姉が関与しない、私の話で盛り上がりたいよ!

子供染みた自分にもうんざりする。

どうせ黒雅さんの件は、これから嫌という程考えなくちゃいけない。
せめて今だけは!と気分を切り替えて馬鹿な話を繰り出した。