「廻音ちゃん。」

後ろでは会話を聞かれていた。
けれど私にはどうだって良かった。
私への対応がどうなろうと構わない。

「あの時の黒雅さんの表情も思い出せないの。
泣いていた…?ううん、きっと笑ってた。

私ね、彼には罪は無いのに、…罪は無いから、殺してあげなきゃって思ったの。
お姉ちゃんと離ればなれになっちゃったら可哀想じゃない。
『一緒にしてくれてありがとう』って顔をしていたように思う。

來玖さんは今頃怒ってるのかなぁ。
ただ綺麗にしてあげたかっただけなのに。
愛してるなら当然じゃない。
彼が自分を責めないように、私が許してあげなくちゃ。
それだけだったのに。綺麗になる度に彼は…何も言えなくなった…。

最期に…あぁ…忘れない。忘れないわ、私。

『愛してるよ』って言ってくれた。
愛しい声。

愛してるわ。大好きよ。あなただけを愛してる。」