居間で寛ぐ時間。

「今日どうだったの。何もされなかった?」

「されるわけないでしょ。相も変わらずお姉ちゃんの話だけ。」

「情けないねぇ。そんなに気になるなら自分の目で確かめればいい。
それが出来ないで、何が愛だ。」

「うーん。まぁ、本人達にしか解らない事もあるしね。
本人達には解らない事もあるけど…。
あぁ、そう言えば帰りに部屋まで送ろうかって言ってくれたけど断わったよ。」

「…死にたくなるくらい何かに絶望した時にはおいでって言っておいて。」

「『言っておく』ね?次も会って良いって事だよね?」

意地悪く笑う私に、「そんな廻音は嫌いだよ。」と彼は拗ねてみせた。

意地悪言ったのはそっちでしょ、とたしなめれば、なーぐーさーめーてー、とそれを口実に膝にゴロゴロしてくる。

慰めるって何をだと思いながらも、気持ち良過ぎるサラサラの髪の毛を撫でていると、案外いい気分なのは私の方かもしれない。