廻音

「もう帰るの？」

心無しか残念そうな顔で、席を立った私達に姉が声をかけてきた。

「うん。今日はちょっと…色々あってね。
あー…疲れたぁ。早く帰って寝たいよ。」

「まだ夕方前よ。
本当に廻音はアウトドアが嫌いなのね。」

呆れた様に笑う姉。

「そうですよ。超インドア派なのに、今日は頑張ったんだから。」

意味深な発言に「何、何！？」と姉は興味深々だけど、「なーいしょっ！」と切り抜いた。

「じゃあね。柚子姫ちゃんもまたね！」

店を出る手前、姉が來玖さんに「またいらしてください。」と声をかけた。

「廻音と一緒なら。」

答える彼に、姉がどんな反応をしたかは判らない。

たったそれだけの会話でほんの少し嫉妬した私だけが確かな事だった。

私も異常だな。
本当、呆れるよ。