「ごめんなさい。正直言って、彼の…黒雅さんの勢いに負けちゃったのも事実。
でも『あの二人』がお互いを勘違いしたままなんて、確かに愛は在るのに悲し過ぎるじゃない。

私と彼の為に会うんじゃないの。
定期的にお姉ちゃんの様子を報告するだけよ。
こんな事…監視しているみたいで…お姉ちゃんは勿論愉快じゃないだろうし私だって…。

それでも二人の未来に繋がるのなら。

私を信じて欲しいの。
來玖さんが悲しむような事は絶対に無いと誓うわ。

あなたへの想いにかけて、絶対に。」

一瞬でも彼の表情の変化を見逃さないように、視線を逸らすまいと努めた。

彼の表情が変わる事はなかった。
眉間に刻み込まれた皺が、一生痕に残るんじゃないかと心配になる程に。