來玖さんはと言えば、予想通り。
寄せれるだけの皺を眉間に寄せて、此方を黙って見ている。
期待通りの人だ。

彼の言葉を待つように、ロングスプーンで掬ったバニラアイスクリームを口に運ぶ。
溶けかけのアイスクリームは、すぐに消えた。

「冷えるねぇ。」なんて口にしても空気は変わらない。

蛇に睨まれた蛙がやられっぱなしではたまるかと、ギリギリの勇気を振り絞るように、真正面から來玖さんに視線を合わせた。

一口、コーヒーで喉を潤して、彼は言う。

「『会っても良い?』じゃなくて『会うから』なんだ?」

彼には珍しく、私を責める口調だった。

当然だろう。
愛情があれば尚更、他の男に会う事を許せるわけがない。

今回の事だってきっと「一回きりだ」と思えばまだ許せたのかもしれない。
それが今後も続くとなれば話は別だ。
憤りもするのだろう。