他愛もない会話を挟みながら、喉を潤した。
次第に「で、本題は?」と口にはしないけど雰囲気で伝えてくる彼。

気付いてはいてもどう切り出せばいいのか悩む。
しかし遠回しに言っても、言葉を選んでも、伝わる結果は変わらない。

意を決して単刀直入に切り出した。

「時々黒雅さんに会う事になったから。」

至って冷静に、落ち着いてゆっくり言葉を吐き出す。
俯き加減でチラリと上目遣いで來玖さんを見やる。
ついでに姉の方も盗み見た。

「黒雅さん」
このワードが聞こえてやしないかと焦ったから。