しかし今日は慣れ親しんだ御伽噺だ。
メニューに目を通さなくても把握していた。

いつも彼を待たせている分、今日は得意気に、声を張って…

「レモンスカッシュ!!!」

「…お客様、恐れ入りますが、当店にレモンスカッシュはございません。」

憐れむ様な柚子姫ちゃんの声と、「あぁ、そうだ。レモンスカッシュは春陽さん方面だ…。」という予備知識。

顔色一つ変えない至って冷静な來玖さんの態度には、余計に赤面してしまう。

「…クリームソーダ。」