「廻音ちゃん。君にお願いがあるんだ。君だからこそ、君にしか頼めない事だ。」

そう切り出した彼の声は、もう震えてなどいなかった。
はっきりとした固い意思を持っている。

「はい…。」

今度は私が身構える番だった。

「定期的に俺と会って欲しい。そして輪廻の様子を教えて欲しいんだ。
どんなに些細な事でも構わない。
俺の毎日の中に、もう一度輪廻を…。

本当、情けなくて自分自身嫌になる。
でもこの方法しか、今の俺にはなす術が無いんだ。」

黒雅さんらしくない、弱気な願いだった。
すんなりと受け入れられないのは、だからだよね。

「輪廻の為なら何でも出来る」と言った、その舌の根も渇かぬうちに。

黒雅 夜 には到底似合わないと…。