「おい!須川!

何度言ったら分かる!!」

先生の声。だけど私には、

届かない。

「止まれ!

ちょっと職員室まで来い!」
先生に腕を掴まれる。

持っていたうさぎを

落としそうになり抱え直し、

先生についていった。



「須川。ここは学校だぞ?

そんな物、持ってきて良いと

思っているのか?」

私はうさぎの頭に顔をのせ

「………いいえ」

と答えた。

先生はイライラしながら

「なら、なぜ持ってきている?」

と聞いてきた。

今まで何度も繰り返した言葉。

私がなにも答えないでいると

「………もういい!

早く教室に行け!」

と言われ職員室から追い出された。



教室に入り、席に座る。

ちらりと見た窓の外には

鮮やかな赤に染まった山が見えた。

紅葉が、多く植えられているらしい。

少し、眺めていると笑みがこぼれた。

紅葉を見ると、紅葉を思い出すから。

紅葉…元気かな…?