罪語りて所在の月を見る



(二)


案内されたのは工場だった。


工場と言っても、機能していなく、面積もあまりない作業所のような場所だ。


機能している時は鉄関係の何かをしていたのかパイプやらが辺りに散らばり、工具もそのままに錆びて放置されていた。


鉄錆びの臭いが鼻につく。ついではタバコか。組み立てられた鉄筋に取り付けられたライトがホコリと共にタバコの煙さえも可視化させるほど工場内に副煙流が充満していた。


「リーダー、連れてきましたっ」


「どうしますっ」


任務を果たしたと意気揚々な連行役が渉の両隣りで指示を仰ぐ。


予想はしていたが、リーダーと呼ばれたのはあのマッチョだった。ドラム缶の上に腰掛け、高みの見物のようににやにやと。