罪語りて所在の月を見る



「……」


ある程度の推察を立てても、目の前の二人を見ておかしいと推察を崩した。


渉を警戒しているならば、二人だけというわけがない。


連れていこうにも、失敗したら元も子もないし、武器も何も持っていない二人が渉を無理矢理連行するにはやはり無理が出てくること。


渉=強いと誤報ながら勝手に式を立てているだろうに、連行役が二人とはいささか甘すぎる。


何が目的なんだと渉が思う前に、案外簡単に謎は解けた。


「てめえの女を預かってる」


「逃げんなよ、あのデカパイ俺らでまわしちゃうからさぁ」


ああ、と納得いった。


人質とは姑息ながら有効な手段を使ってきたものだ。


もともと初めは阿行を狙っていたのだから、渉と阿行をこいつらが結びつけ、人質として成り立つと利用したのも大いに頷けた。