渉の都市伝説探索は主に夜だ。怪異譚の話は言わずもがな、夜にばかり起こるので最適な時間となろう。
しかも今日は満月だ。ぞっとするほどの真円。“何か起こるかも”と思っていたが、それがコレとはハズレクジを引いた気分になる。
相手にせず逃げようかと思ったが、こうもつきまとうのだ。今日相手しなかったところで明日がある。
こういった手合いは、絡むだけ無駄と分からせることに尽きるが、今宵のヤンキーは趣向を凝らしたようだ。
「大人しくついてこい」
「けじめぇ、つけさしてやっからよぅ」
ガンつける二人。オラオラ系で暴力的であり短気。ヤンキーという種族は似たような人が群れるらしかった。ケンカっ早いのが、なんか最近女子ウケしているみたいだが、渉には分からないことだ。
短気に人を殴る人の何が魅力的なのだろうか。


