“このままでいたい”と、願ってしまうまでになるほど。
「――、おい」
物思いに耽る中の声は肩を強ばらせた。
歩道と車道の区別が白線一本の、そんな道中。都市伝説探索に足を進める渉を止めた声は背後からした。
振り向けば、かなり近い位置にいたので二度驚きそうになる。もしかしたら、渉が気づかないだけで、こいつらはずっと渉に声をかけていたのかもしれない。
こいつら――例のごとくと言えよう腰パンヤンキーが二人、威圧感出すように立っていた。
「また、ですか……」
強ばらせた肩を落としながら、またかと渉は思う。用件は?と聞かずとも一昨日昨日と絡まれれば、それ経由だと想像できた。
ただこんな時間にまで付きまとわれるとは思わなかったと、逆にご苦労なことでと言いたくなる。


