罪語りて所在の月を見る



“彼女”の心遣いも、“あの人”への贖罪も全うできずに、中途半端に生きていた。


楽しむ一方で、期待を産まず。幸せな一方で不幸せを願う。


幸せな分だけ不幸せを、不幸せが多い方がまだいいと思っているのに――最近は、幸せすぎた。


友人が、増えたんだ。


都市伝説の怪異だからと近づいた阿行になつかれ、阿行目当てで来た溝出の舎弟に強制的にされ、溝出を救うために出会った冬月と冬月の兄・秋月(あきつき)とも会話するようになって。


些細な人付き合いがこんなにも線を太くし、繋がりを持つだなんて信じられないほどだ。


少なくとも、今まで生きてきた中で、渉は友人を作らなかったし、作る気などなかった。


おかしな格好をして変わり者だと皆を自身から遠ざけてもいたのに、どうしてこんなにも“周り”ができて――