罪語りて所在の月を見る



それでも渉は劇的に変わったわけでもないが、“友人”というものを持って生き方が変わってしまった。


楽しく、生きてしまった。


許されないと知りつつも、楽しんでしまった。春溶けの氷のように少しずつだが、楽しいと思った。


“彼女”が来て、あの“小悪党”も現れ、かなり騒がしくなった日々。


いけないと、僕はこうも楽しんではいけないと迷ったのに。


『笑っておけ。今のうちだけだぞ』


そうやって自身を労る心遣いさえも、こんな自身に慰めなんか要らないと思っても――その言葉を聞いてから、やはりまた笑ってしまって。


「酷い人だな、僕も……」


結局はまたこうして、楽しみ生きて、冷めた心で自身を見る。