それでも渉は劇的に変わったわけでもないが、“友人”というものを持って生き方が変わってしまった。
楽しく、生きてしまった。
許されないと知りつつも、楽しんでしまった。春溶けの氷のように少しずつだが、楽しいと思った。
“彼女”が来て、あの“小悪党”も現れ、かなり騒がしくなった日々。
いけないと、僕はこうも楽しんではいけないと迷ったのに。
『笑っておけ。今のうちだけだぞ』
そうやって自身を労る心遣いさえも、こんな自身に慰めなんか要らないと思っても――その言葉を聞いてから、やはりまた笑ってしまって。
「酷い人だな、僕も……」
結局はまたこうして、楽しみ生きて、冷めた心で自身を見る。


