何よりも、“彼女”は頼めばしてくれるような人。障害があるとすれば時間だ。忙しいらしく、現に、渉は昨日の内に何度か連絡したが、どれもが不在で留守電に残す形となった。
それを今、改めて頼んでみたものの、耳を澄まして聞いた相手の心境はどうにも歯切れが悪そうな。
「やはりダメですか。すみません、無理を言って」
頼んだらしてくれるに甘えた部分があったと自覚した渉の声音が落ちたところで、朗報が入った。
「え、大丈夫なんですか。はい。分かりました。明日ですね。阿行さんに伝えておきます。あ、校門のところにいるように言いますから。阿行さん、誰かにおぶさらなきゃ学園の敷地内から出られないみたいでして」


