「あ、冬月君。リボンが」
耳上あたり、一束結んだ赤い紐がほどけかけていた。冬月が「え」と確かめる前に、渉が紐に手を伸ばす。
「っっ!」
――と、なんか聞こえたような。
まあいいかと、渉はほどけかけを一度ほどき、また結ぶ。
髪をさらりと一束。手に取り、さわさわとなるべく冬月の頭に触れないように配慮したが、時折指の関節を曲げたさいについてしまった。
くわえて耳にも指先が。さわっ、と撫でるか撫でないかの、そんな絶妙な触り。
「っー、っ!」
――と、また何か聞こえたが気のせいだろう。
結び終えたあとに、やっぱり少し変かなと思い、整える。具体的には束にした髪の量が多かったのか、くせ毛みたいに跳ねているなと、束の上から手を押し付けた。


