「とびっきりの悪夢見てうなされろ、クソガキ」
最後の最後まで藤馬の悪態は尽きない。
「あなたにも、とびっきりの悪夢がありますように」
だからこそ、渉も憎まれ口を言葉にできた。
友人ではない悪友。
どんな小悪党でも相手は認めずとも、渉は藤馬を友人と見ている。
阿行も、冬月、秋月、溝出。そうして“彼女”だって、みんな大切だ。
思うだけで嬉しくなるような、想うだけで泣きたくなってしまうような、それだけ大切な人たち。
――恵まれているな、僕は。
不幸に固められながらも、些細なことでも、もう十分だと思った。
笑えるって、昔の僕にしたら“夢みたいなこと”だったから。
これが夢ではないと知るためにも、渉は眠る。
とびっきりの悪夢とやらを見て、『夢で良かった』と起きた世界で思えるように――


