「ああ、そこはてめえに“譲ってやるよ”。“ホッとしたままで”いさせてやる。その安堵もまた罪悪感に繋がるからなぁ。望まぬ形であれ、アレのおかげでお前は、もう虐められることもねえだろうし。その事実がまた、てめえの首を自身で絞めることになるだろうよぅ」
藤馬の顔が渉から離れ、襖へ上がる。包帯で眼球がどこに置かれているかまでは知らないが、“襖の向こう”を見ているように渉は見えた。
「ますます、“いけすかねえ形になってきた”な。まあ、手足ついてからはてめえの家政婦代わりになってて便利だろうが。わたるんよぅ、今、“どの程度”見えんだ?」
藤馬の問いかけに渉は襖へと目をやった。
そこには何もおらず、やはりは“襖の向こう”に何かがいるわけだが。


