「楽しめだとか、苦しめだとか、本当に要領が得ない人ですね」
「仕方がねえよ。てめえが、楽しみながら苦しんでいるんだからさぁ。前は苦しみ一直線で、その苦しみ自体が当たり前だと慣れちまったクソガキだったが、不幸だから幸せが身に染みるってとこか?
ほんといいバランスだ。指の先のやじろべえ並みに絶妙だ。どちらかと言えば苦しみ側に傾いているが、今までが不幸だった分、ちょっとした幸せで拮抗しちまうあたり、ああ、そこは憐れんでやろうか。
お前は、あんまりにも苦しみすぎた」
苦しみを普通だと思えるほどに、と藤馬は言う。
「死刑囚と変わんねえよな、ここまで来ると。死刑確定なのに裁判とか何やらで、死刑執行日を先伸ばしにされてるみたいだよな――いや、それ以上に辛いか。
なんせ、てめえは何もしてねえ。厳密には“何かしたからそうなった”んだが、それでも幼いお前がやったことを誰が咎められる?
見つけちまっただけで、わたるんには何の罪もねえよ。だから、そうだから――てめえはもっと理不尽に嘆けばいいんだよ」


