罪語りて所在の月を見る



藤馬の下弦の口が更に歪んだ。


「そうそうそうっ。死ぬ瞬間になって、『死にたくない、助けて、まだ生きたい』って喚くぐらいに、死ぬことに抗え。

んでもって俺にすがれ。てめえの呪いを――死を助けることができる唯一の存在に懇願しろ。涙で顔面崩壊しながらなぁ」


「言ったところで、あなたがそれを『やーだね』と笑って見下す絵しか僕には見えませんよ」


「間違えねえよ、まさにそうなるさ。俺はその時を何よりも楽しみにしている。ただの奴が、死にたくないとすがるよりも、“そう言える、お前だからこそ”楽しみなんだ。

死を達観しちまったお前が、命乞いする気なんかさらっさらねえお前が、最期の土壇場でそうなるってのを俺は予想している。

シシッ、大穴馬券だが、いい兆候が出てきたみてえだから、俺としても笑っちまう。順位で言ったら、三位抜いたところかぁ?

今まさにここでやっちまってもいいが、あー、もっと苦しむわたるんも見てえなぁ」