「ほんと、ぐったりだなぁ、わたるん。シシッ、ババアに首でも絞められたかぁ?」
「……。声、こっちまで聞こえてましたか」
恐らくは笑い声。奇声たる絶叫は古びた建物の中まで届いたらしい。もともと喧騒とは無縁なのだ。無音の中なら、時計の針でさえも目立つ音となる。
「別に……何もされていませんよ。僕の首を、伯母さんが絞められるはずもないし」
呪いのせいで、とまでは付け加えなかった。加えたらきっと、この小悪党は「じゃあ、呪いなきゃ絞め放題だな」と軽口を叩くに決まっている。
「僕が、間違ったことをしただけですよ」
「だなぁ、発狂ババアに関わんなよ。いると思わせんな、また“逆戻り”だぜぇ?
前には戻りたくねえだろ、ああ?認めろよ、わたるん――」


