「んだぁ?」
夜勤明けのサラリーマンみたいにぐうたれた渉に藤馬が近づいた。
寝てはいない、ただボーッとしているように浅く呼吸をしている。
「なに、お前」
「……、疲れた」
埋もれた中から聞こえてきた微かな“弱音”。
それを聞いた藤馬は頭をかいて、舌打ちをしてみせた。
「人の体力にケチつける奴がバテんじゃねえよ。疲れる前にフルマラソンするぐらいになれや、おい」
日頃から体力のなさを言われる藤馬の逆襲。人差し指でうつ伏せになる渉の頭を『うりうり』した。
ピンポイトでつむじを狙うあたり、小悪党らしい。
「つか、お前が疲れることってなんだよ。――って、酒臭くねぇ?うわっ、臭いついちまった!」


