鼻に置いた羽を、愛撫するように舐めた藤馬。何を想像しているのか恍惚としている。
「ん、と……。あー、奥さま舐めずりてぇ」
「何を想像しているか分からないとあえて考えないようにしたのに、口に出さないでくださいよ。
それと五十鈴さんの僕への好意は愛情ではなく友人としての厚意ですよ。浮気ではありません」
「奥さまの一番は俺って分かってんだよ。二番目が口出すなってーの。いいからてめえは、苦しみ死ねや。最期のときまで笑って見届けてやるよ」
話が通じない小悪党も今に始まったことではないと、唾液で萎れた羽はもう藤馬に奪われたということにして諦めた。
腕に額を埋めて、次にそのまま横に倒れ込む。ぐったりとの文字が似合う渉は、腕を枕にしたままうつ伏せになった。


