但し、このフクロウの前で無表情で冷たくいられるわけがなかった。
微かに唇を伸ばして、冷たく見えないように作ってみせたが――フクロウが翼を広げた。
威嚇しているみたいだ、なんでそんなポーズをされているのかまでは察せない渉に、フクロウは諦めたかのように片羽を折り畳む。
伸ばしたままの片羽をどうするかと見れば、手入れをするかのようにクチバシをぐぐぐっと差し込んだ。
三秒後にはフクロウのクチバシに一枚の羽がくわえられていた。
バラを口にくわえてキザったらしくする男はいるが、正にそれに見えてしまい、渉は失笑しそうになる。
「あの……」
フクロウに近づこうと足を踏み出せば、逃げられた。


