「えっと、あなたは当たり前のことをしただけと恩を着せるつもりはないでしょうが……。やっぱり僕はお礼したいです。阿行さんに――」
と、言いかけを呑み込んだ。
阿行曰く、“彼女”が教えたことは秘密なのだ。
もう渉の知るところになった話だが、当人が阿行に口止めするほどなのだから、こちらは知らぬ存ぜぬで通した方が相手のためだ。
「阿行さんに……そう、阿行さんとの買い物も任せてしまいましたし。やっぱりお礼がしたいです」
切り返しには苦しかったかなと渉は思えど、フクロウは微動だにせず、剥製のように立っていた。
普通のフクロウならば忙しなく首を動かしそうなものだが、ますますもってこのフクロウは普通ではないと言えよう生き物と証明される。


