バサバサと伯母の頭上を羽ばたくもの。
人間の両腕ほどの大きさがあろう、灰色の翼がはためき、ただひたすらに伯母の頭上で暴れてみせた。
「ぎいぃぃぃっ」
金切り声をあげて、伯母が階段を逃げるように降りていく。何かを抱えたまま、腰が『くの字』に曲がったままで降りるものだから、途中で足を踏み外すのではないかと渉は不安になったが、結局は落ちずに麓までたどり着けていた。
伯母もまた階段に関しては日課となり癖がついたのか、狂った頭なりに感覚はあったようだ。転げ落ちなくて良かったと思いつつ、渉は頭上を通りすぎた影を目で追った。
渉から五段上。
大きな羽を折りたたみ、こちらを見下ろす一つの目。


