ひきつった声をあげた伯母が首をあげた。
石段の角に後頭部をぶつけたらしく、灰色に黒てかりした赤が付着していた。
「い、じんむご、く……」
つかの間、また首が落ちる。同じ場所、同じ箇所に。
上げて、下げて。
起き上がり、倒れ込み。
がんがんと自ら頭を石段の角にぶつけ始めた。
「や、やめ……っ、やめてください、伯母さん!」
血が渉にまで飛んできたのがバネになり、そんな異常行動を目の当たりにした唖然が取り払われた。
伯母の肩を持つ、また頭を打ち付けようと倒れ込む力の歯止めとする。
しばらくはそんな押し合いが続き、ふとした瞬間に、また伯母の首だけが逆さ吊りの状態になった。
最初のまま、しかして眼球は渉の真後ろを見ているかのような位置にあり、伯母の口が経を読むかのように早口に動かされた。


