「てめえ、気づいていながら無視かよ。華麗なるスルーってか、ああん?」
「今のは面白くないよー」
ワケわかんないーとブーイング出す阿行に、顔を酢ダコにしたAが『せっ』と吠えた。うるせっを簡略化したようだ。
「スルーした上に、廊下でいちゃこらしやがってよぅ。なに、見せつけてんの?なんなら公開プレイでもしろよ。俺らも参加してやんぜぇ」
ようやくここに来て、自分たちのスタイルを思い出したか、斜に構えたようににやにやと腰パンズボンに手を入れていた。
「ねえ、わたるん。あの人たち、パンツ見えてるよ」
「阿行さん指摘しちゃダメですよ。彼らなりにかっこいいと思ってやっていることですから」
「だってー、男の見せパンだなんて需要ないよー。おまけに下がったズボンのポッケに手を入れようとしているからか猫背だし」
「だからそれがかっこいいと思っているんですよ。ほら猫背だって、ズボン下げすぎて無理してやっているぐらいですし」


