迷い戸惑っていたのが、すぅと抜けていた。


相も変わらず、みんなを危ない目に合わすのではないかと不安があるが、もうみんなを突き放す真似なんかできないと確信していた。


――辛かったんだ。


わざと突き放し、嘘をつき、泣かせて、好きを嫌いにしようとしたあの行為の残酷さを、心から感じた。


だからもう、できない。したくないんだ、あんなことは。


「結局は、僕のワガママか……」


酷い人間だと罵りたい気持ちが出てくるが、この思考もきっと阿行たちを前にすれば消えてくれる。


有無を言わさずにみんなは、渉に楽しみ方を教えてくれるから。


一人になった時にはこうして、自身の呪いだけと向き合わなければならずに、“あの人”のこともあるのだから、自然と不幸を求めてしまうが、せめてみんなの前では笑えるようにしたい。