その気迫たるいかつさに、阿行と渉は顔を見合わせて。
「何かご用でしょうか」
「澄ましてんじゃねえぞ、この変人がっ!」
礼儀正しく対応したつもりが何故か更に怒らせてしまった。
本当になんでこの男子生徒たちは揃いも揃って怒っているのだろうか。恥ずかしげに逆ギレが如く顔を赤くしているのは気のせいの激昂にしても、渉には何で彼らがイラついているのかが分からなかった。
「先ほどまで陽気な口笛を吹いていたと思ったんですが」
「「「って、気づいていたんかいっ!」」」
びしっと息の揃ったツッコミに笑ったのは阿行だけだった。
廊下には男子生徒三人ABCとまた名づけたくなる人物と、阿行渉のみ。他の生徒は不穏な空気を感じ取って逃げたみたいだった。もしくは先生を呼びに行ったか。


