「この、化けもんがぁっ!」
意識にも置いていなかった場所からの咆哮。
なんだと見る前、渉は眼前にスパナが飛んでくるのが見えた。
ぶんっと投げ放たれたスパナは、重く風を圧して渉に当たろうと。
「わたるんっ!」
悲鳴の矛先を無視して、スパナが渉に当たらず、弾かれた。
バネにでもぶつかったように、ああ、“弾き返された”。
事態は刹那。
物事は単純。
状況は明白。
弾き返されたスパナが、男の額を抉った。
進行方向が真逆となったスパナを回避できずに、まともに受けた男――リーダー格のあいつは、悲鳴もあげずに、銅像のように重い音をあげて背から倒れた。
スパナがリーダー格の額で一度“バウンド”し、落ちたあたりで、時計の針が動いたようだ。


