罪語りて所在の月を見る



“アナタノタメニ”


いつかの毒が体を蝕み、まだ理解できぬ形が自身を覆い被さるように“中指がない、やけに長い手”を伸ばしてきた。


「やめろっ……」


「きゃっ」


はっとした時には遅い。胎盤の中のような生ぬるい気味悪さを肌に感じた渉は、つい、まとわりつくモノを拒絶してしまった。


おぶさる阿行が、落ちた。尻餅らしく「いてて」と膝を曲げたまま、座る阿行を見て、渉は何をしているんだと己を叱咤し、後悔した。


呪いが浮き彫りになったせいか、情緒不安定。拒絶したのは阿行でないにせよ、その人肌の感触が“百足に背中を這われた感触”に思えて、とっさに身を翻してしまった。


そんなことはない、おかしいのは自分だ。分かっているのに。