「――さて、こないなもんやね」
腕ならしにもならんかった、と秋月が刀を納刀した。
きん、と鍔が鳴ったあたりで、冬月も同じように刀を納めた。
もう敵はいない。
誰もが倒れ、沈黙。意識はあるものもいるだろうが、熊の前で死んだふりよろしく、もう相手にしたくないと立てずにいた。
「熊の前――、も迷信なんやけどねぇ。逃げたかったら逃げぇ。僕は我慢できますが、弟はまだ許してへんみたいやし。
襲われる前に尻尾巻いて逃げなぁ、負け犬」
「兄さんダメどすえ、逃がすやなんて。こないな粋がる阿呆どものプライドをぐちゃぐちゃにすんのは、きっと楽しいことやろし」
「せやけどねぇ。こんな大勢おって鉄パイプ持って襲って、そいで誰も僕らに傷一つつけらんなかっただけでも、『自分は強い』と思っていたこいつらにしてみよったら、十分に、“現実を思い知らされた”んちゃう?
――所詮は、今までしてきたことなんて『悪ぶってた』程度の『ままごと』や、ってなぁ」


