罪語りて所在の月を見る



しかしながら、そこは初体験によるパニック。他人の血を見ただけで貧血を起こすような人もいるのだ、『刀で斬られた』『血が出ている』というワードで自分勝手に死を連想してしまうのは無理ない話。


よくよく冷静になれば、痛みなんて微々と分かりそうだが、『斬られた』ということだけでもう立ち上がる勇気さえも断たれてしまった。


次は、ない。


そう暗示させるほどに、冬月は冷淡だった。


ひょっとしたら痛みで言えば打撲の秋月の方が大きいかもしれないが、『倒されるならば秋月がマシ』と思わせるほど、切り傷には慣れてなかった。


一連のやり取りで体を強ばらせ、弛緩する指先で必死に武器を取りこぼさないように踏ん張るが、歯は正直にカタカタ激しく上下した。


警笛のようだ。心拍以上に早い固い音色が、危機を察知し、逃げろと促すような。