罪語りて所在の月を見る



「ああ゛あぁぁっ!」


理不尽だと痛みで泣きわめいた愚者を冬月はうるさいと踏みつけた。


ぐへっとツバを吐いて、押し黙るそいつに「次、喋ったら本当に殺すから」と温度がない平坦さで言ってみせた。


「僕の加減はあんさんらに向けた同情やない。ほんまは殺したくて叶わんけど、兄さんとわたるんはんがそれを望んでないなら、僕は“それなら守れます”わぁ。

切るけど深くない。こんぐらいでびーびー言うやなんて、ザコキャラ以下やわあんさんら」


確かに倒れたヤンキーから血は流れても、見るからに致死量ではなく、流れる場所にしても二の腕だ。


首ではなく二の腕。筋肉が厚く、よほど深くなければ死なない部位。


はっきり言って、剃刀で切ったと言えよう傷にああも騒ぐ奴の気が知れなかった。