陽気から暗く。無邪気が邪気になったその声が、刀と共にへっぴり腰の体を撫でた。
「わたるんはんをああしただけやなく、兄さんに同情もらうやなんて……ああ、イラつくわぁ。
死ねや、有象無象。身の程をわきまえない雑魚は、血にまみれて死んでしまえ」
ぶんっと言い終えたあとに冬月は刀についた血を払った。
血――?
誰のだと分からなかったのは気づかなかったから。
へっぴり腰から、がくんと膝をついて倒れ、初めて自身の体から血が出ていることをやっと理解できた。
「あ、あぁぁっ」
うずくまり、患部に手をあてがう。
正直、心のどこかで『傷つけられない』と過信していた。
喧嘩だけはよくやってきたが、“血が出るまでやったことはない”。


