罪語りて所在の月を見る



密着など阿行が甘えたがりなのでよくあることにせよ、今は背筋を伸ばし、体を前に出そうとするのだ。


ああ、あれだ。
胸の大きい人がやるあれ。


机の上に大きなぷよぷよをのっちりと乗せるような――そんな状態が渉の頭上で起きていた。


壁掛けフックらしく、アンダーとトップの劇的なる差を利用し、渉の頭を土台とするヘブンズオパーイ。


学帽を被る渉だがいきなり乗っかった至高の特大バケツプリンチェリー乗せ(例え)が頭頂部にのし掛かるものだから、帽子が沈む。


目深に被った学帽、某緑のハーモニカ持った旅する吟遊詩人以上に目深だった。つまりは前が見えないほどに。


『前なんか見なくていいっ。頭に乗り、頭蓋骨を抜けて脳に直接電流を走らせるようなこのアルカディアのためなら、前なんざ見ねえ。それでも俺は後悔しない!存分に堪能してやらあぁ!』