そんな大雑把さ――悠々自適に隅々まで清掃できると時間に囚われない放課後を選んだのか。
「そうですね、阿行さんの考えはもしかしたら当たりかもしれませんね」
「えへへー、わたるんの役に立てたー」
照れながらも嬉しいらしく、窓を拭く雑巾をはしゃぐように動かし始めた阿行。
ノリにのったか、まだ拭いていない高いとこに手を伸ばした。
「阿行さん、あぶな――」
いと言う前に、両手で窓を支えにした。体重をかけて割れないかと思ったが、この窓は以前、とあるヒャッハーが割ったあとにそれ対策で防弾ガラスにしたものだった。みしりとも言わない。
「きゅっ、きゅー」
背筋を伸ばして、もっと上へと阿行はより渉に密着した。


