阿行に手を出していないことが、奇しくもこいつらの無事を保証したところか。
「もう関わらないでいただきたい。阿行さんにも僕にも。手を出さないならば、何も起きませんから」
和解を求めた渉をマッチョは鼻で笑った。
「ハッ、いつまでも生意気だナ、てめえは。今の状況、分かってんの?目、みえてまーすーかー?」
挑発的な物言いに笑い声がどっと溢れた。金属に囲まれているからかよく響いた気がする。
ひどく、耳障りなほどに――
「分かっていないのはあなたたちだ。関わらない方がいいんです。僕には、絶対に――」
言いながら、渉の頭には阿行たち――友人の顔がよぎった。
――関わらない方がいいとこいつらの身を案じて、なんで僕は。


