その人が吸いたいなら吸えばいいと渉は注意などしないが、どこかの国では、タバコのパッケージに『タバコを吸った患者』の生々しく悲惨な写真を貼っているそうだ。あれは日本でも導入した方がいいのではないかと思う。
タバコの代価がお金だけでないことを知る人が少なすぎるし、いたとしても甘い考えしかない。学生ならばなおのこと、『今はこれが当たり前だから』と周りに流されて後で後悔するのは自業自得ながらも哀れに思えた。
単なる嗜好品であり、オシャレアイテム。そんな甘い考えを直すべきだが、当人たちが『うぜぇ』と言えば話すことなどないだろう。
第一、今はそんな場合でもないかと渉は工場内を見回した。


