ゆののお母さんのお墓参りの後、俺らはとある家へと向かった。
はぁ……。
ゆのにプロポーズを受け入れて貰ってひと息つきたい所だが。
俺にとってもう1つ…解決しないとならない問題が……。
純和風の邸宅の前に車を止める。
「隼斗さん、ここどなたのお宅ですか?」
「ん?ここか?ご隠居の家だ」
「ご隠居?」
「あぁ、先代の家元だ。まぁ、俺の爺さんなんだけど…」
「え゛っ!?おっ…お爺様?」
ゆのはかなり驚いている。
そりゃあそうだよな…。
何も言って無いんだし…。
けど、ここは通らなきゃならねぇ関門なんだ。
香心流では家元を継承するにあたり、現家元は勿論、存命する先代家元にも“茶”を認めて貰う事が条件。
現家元(父親)には既に認めて貰っているが…。
残りの先代家元(祖父)に認めて貰うため…今日ここへ来た。
先日、連絡を入れたら“妻になる女性”も連れて来いと言う。
一体、ゆのに何の用だ?
俺は不安と緊張で今にも意識がどこかへ行きそうになっている。