「手はコイツがあし痛いから繋いでんだよ。」




そう片方の手で、
一歩後ろに立つ私を指す。




私はその言葉で我にかえり、
うんうん頷く。




「そうなんだ。美里、大丈夫?」




要路が私を心配するように、
私の目線に合わせて屈む。




「うん、ちょっと痛いけど・・・。」




私は俯いたまま喋る。




顔が赤いのをばれないように。




それからは帰ろうということで歩きはじめたんだけど、



修がギャーギャー言うから手は離した。




けど修にばれない限りにたまに、

クイッて手を引いてくれたりする。




その度に私は心臓が飛び出るんじよないかってバクバクして・・・。




駅から家までも旬が送ってくれて。




私はその間ずっと旬のシャツを握らされていた。




つかまっとけよ、って言うから・・・。




私は何故だか嬉しくて。




「・・・じゃあな。」




「うん、服、ありがとう」




「いや、気にすんな」




そう言って家の前で手を振って別れる。




家に入るなり、


私は靴をほっぽって部屋に駆け上がった。




ベッドに飛び乗ってクッションを抱える。




「・・・やば」




クッションに顔を埋めながら呟く。




どうしよう・・・。




心臓の音がずっと早いままだ。




ドクドクドクドク・・・そんな音が大きく、鳴り響く。




耳の裏に心臓があるんじゃないか、


ってくらいによく響いて。




頭の中には今日の出来事ばかり再生されてく。




旬とショッピングしたこと。




旬の落ち込む姿を見たこと。




旬が私のあしに気付いてくれたこと。




旬が私をおぶろうとしたこと。




旬が私をお姫様抱っこしたこと。




旬と手を繋いだこと。




旬が私に絆創膏貼ってくれたこと。




旬って呼べ、って言われたこと。




それに・・・、




旬と・・・キスしたこと。




そう思った瞬間に全身の血が勢いよく巡る感覚がした。




「〜〜ッ!」




思い出しただけで頭がパンクしそう。




熱い、熱い。




唇に指を這わせてみれば、



まだ少し、



感触と、熱が残っているような。



どうしよう・・・。




久しぶりの感覚に胸が飲み込まれる。







・・・これは、あれだ。





これは、恋・・・だ。





私は、旬を好きになっちゃったんだ。