私は窓の外をちらりと見た。





外は桜が舞って、
道にはピンク色の絨毯をつくっている。





可愛いー。





私はそんな直感的な感想を抱く。




そういえば、
現代の人は何でも可愛い、と言ってしまうと聞いたことがある。



その70%は嘘、ってのも聞いたことがある。





本当かどうか知らないけど。




って、何考えてんの私。




本当どうでもいい。




私は自分で自分を嘲笑い、




私は一人景色にふけた。





「なにボーっとしてんの?

余裕だなー。


ボーっとしててもチームには入れますって?

さすがモデル科一位ですな。」



私が考えこんでいるると、
友達は私の顔を覗き込んでそう言った。





私はその言葉でハっとする。





そして言葉をかえす。





「余裕なんてないよ。




それにモデル科一位って・・・茶化したいわけ?」





私は少し睨みをきかせ、つけまがいい感じにつけられた友達の目を見返す。





「本当のことじゃん?」





ふふっと彼女は笑った。




確かに彼女の言う通り、



モデル科のコンテストも、


ファッションショーでも、


一位を逃したことがない。



他の子には悪いが、
ぶっちゃけると、自覚するくらいに私は圧倒的な成績を誇っていたりする。





そんな私がファッションショーのチームに入ると、
いつも優勝出来てしまう。




私はどんな服でも、


どんな髪でも、


どんなメイクでも、


どんなネイルでも、




かっこよく、人を魅了させるように見せることに人より長けている。




と思っている。





そんなこと、
口にはだせないけどね。




言ったら白い目で見られるわ。




・・・心の中だけで言ってるの。




「ま、
自分から行かなくても、
勝手に他が寄って来るって感じ?」





また彼女はふふふと笑いを零す。





彼女はいつもいつも、私が一位なことをわざとらしくつっかかってくるから少し嫌なんだよね。





「うるさいなー。」



私はそう返して目の前の卵焼きをパクリと一口。




「ねぇ。」





私が卵焼きを口の中で味わっていると背後から声がした。




目の前の友達はほらね、



と口を動かしてと不敵な笑みを浮かべる。





私はそんな表情に少しイラっとした。





卵焼きを飲み込み、
振り向いた。





目の前には4人の男女。





「ビンゴ!やっぱその後ろ姿は咲田さんだと思ったんだよね!」





振り向いた瞬間にパチンと指を鳴らされ、

思わずビクリと肩が跳ねる。





うわ、
いかにも媚び売ってる感満載。





そして彼等はニコニコしながら言葉を続けた。





「うん、やっぱ可愛い!


いきなりだけど、俺らのチームのモデルになってくれない?」





目をキラキラ輝かせている4人。




こんな勧誘にも私は慣れっこ、って言っちゃあ慣れっこ。





いつもの返事をしようと口を開いた瞬間。





「ちょおっと待ったぁぁぁああっ!」





男の人であろう叫びがカフェテリアに響いた。