何だったんだろう・・・。




修・・・。





―――





結局、お昼は中庭で食べようということになった。





木崎旬と要路は弁当持ちのようだが、修と郁斗は買い弁。





先に行っといてと言われて、今三人で噴水の淵に腰掛けている。





「・・・あ、昨日のネイル、おとさないでくれたんだね。」





いきなり声をかけられたと思えば、私の左側に座る要路が私の左手を掬い上げる。





要路の微笑みに何かマイナスイオン的な物を感じる。





癒される・・・。





「うん。こんなに綺麗なネイル久々だから。




この色素敵だよね。」





私は要路を見てふふっと笑う。





要路も私を見てまた笑みを返してくれて、私の左手を離した。





すると郁斗達が私達の所までやってくる。





郁斗達も噴水の淵に座る。





水しぶきが少しかかるけど、今日は暖かいから気にならない。





「じゃ、食うかー」





郁斗がそう言ってパンの袋を開けた。





私もお弁当箱をあけて、
いただきます、と両手を合わせる。





食べている間の話題といえば、学期末のファッションショーについてだ。





「今日からつくり始めるよね。」





要路は箸を綺麗に持ちながら私達に視線を向ける。





「ああ。」




木崎旬は視線を合わさず黙々と箸を進めながら答える。





「じゃあー・・・、あのカフェに行けばいいの?」





私も話の内容についていこうと箸をとめながら会話に入る。





すると木崎旬はこちらに視線をチラリと向けて答える。





「そうだけど・・・つかあの店俺ん家。」





静かに答えるとまた視線をお弁当箱に戻す。





あのカフェ木崎旬の家なんだ・・・。





あ、昨日のお姉さん“息子"とか言ってたし。





ていうか、





「お母さん若くない?」




そう、昨日のお姉さんは頑張っても30代くらいにしか見えなかったし。





今何歳なんだろう・・・。





なんて、女性に対して失礼か?





「いや、多分もう45くらいだぜ。」





木崎旬がぼそりと言う。




噴水の水音が木崎旬の声に被さって聞き取りにくかったけど・・・、




「嘘!?見えない!」





私はお弁当箱を落としそうになり、焦って一瞬体温が急上昇する。





「まじかよ、全然見えねー!」





郁斗はケタケタ笑いながらも目を見開く。





木崎旬は私達のリアクションを気にもとめずにパクパクとお弁当を食べ進めている。





木崎旬は本当に喋るのが嫌いみたい。





クールだな。





口数が少ない中でも唯一口を開くのはファッションショーとか服関連の事だし。





きっと、アパレル関連の事が大好きなんだろう。





私もモデル関連になると自然に口が早く動くし。





何か共通点が見つかった気がして少し嬉しい。





そうしている内に昼休みが終わる5分前になった。





私達は中庭をでて、校舎に戻る。





たくさんの人が行き交うロビーのような所まで来て、一旦歩いていた足をとめる。





「じゃあ、放課後アトリエな!」





修がそう言って、皆頷き、バイバイと手を振ってそれぞれの授業に向かった。