いや、今食べる気しないんだよなー・・・。
私はまたため息。
学校に到着するなり、郁斗は私をメイク室に連行。
「さらわれるぅー」
なんて棒読みで言ってみた。
「美里、キャラ崩壊し過ぎだぞ。」
ペチペチ私の肌を醒まさせるように叩く。
そして郁斗は私の顔を真剣に見つめた。
私は霞んだ視界でそれを見つめかえす。
「・・・まぁ、ニキビがないのが救いだな。
ニキビとかすぐ修復できねぇし・・・」
そうボソボソと呟くのが耳に入る。
ああ、どうしよう。
どうでもいい。
「お前元気だせ」
そう言って郁斗は私に何かクリームを塗ったり化粧水のようなものを塗ったりと・・・。
まぁ40分くらい。
「・・・まぁ最善を尽くした。
うん、俺頑張った。
あれをよくここまでやった。」
うん、と郁斗は一人拳を握りしめて明後日の方向を見ている。
何してんだこの人。
私は呆れつつ鏡をふと見てみた。
「・・・おお。」
私は思わず声を上げた。
これは・・・びっくり。
あんな垂れていたような肌が生き生きしているでないか。
なんだか自然に口角が上がった。
すると上から声がかけられた。
「あ、笑った」
私はその声でとっさに顔をあげた。
そこには微笑んだ郁斗。
あ・・・。
そして自然に出た言葉。
「・・・ありがと」
「・・・?ああ。」
郁斗は少しキョトンとした表情を見せた。
そんな中、私は感激していた。
こんな、こんなに短時間で人の心を操る・・・ううん、変えてくれる皆はすごい。
これ、前も思ったことだけどまた改めて感じた。
「ちょっと、元気でた」
私はそう言って今できる最高の笑顔を向けて、
それからメイク室を飛び出した。
はやく、羽美に会わなきゃ。
言いたいことと、聞きたいこと。
たくさんあるんだから。
私はいつものエントランスで羽美を待つ。
すると数分で羽美はやってきた。
相変わらず暗い雰囲気。
私は明るめな高い声で呼んだ。
「羽美!」


