今日もいつも通りの時間、私の家。
「おはよう。」
要路の微笑みで少し癒される。
私も苦し紛れな笑みを返しておいた。
「今日試験だなぁー。」
歩きだした途端、郁斗の腕が私の肩にまわされる。
「・・・うん」
私は郁斗の言葉にテキトーに反応した。
ここ数日、かなり頭をつかった。
会ったら何を言おうか。
また普通に喋れるようになる?
それに、修をフッた私はどう羽美にこれから接すればいいの?
あからさまな応援をしたら嫌味に思われるし・・・?
ああ、それに試験もあるし。
ショーだってあるし。
いい動きや表情が出来るかすごい不安で。
鏡を見ればなんだか肌が垂れ下がって見えるし。
内蔵に鉛でも積まれてるんじゃないか、ってくらい怠いし。
そんなことをダラダラ思ってたら今日が来た。
ズーン、そんな風に私は自分の靴ばかり見てしまう。
はぁ・・・。
するとその瞬間、
プニ、
そんな効果音がピッタリであろう、私の頬に何か細い棒状の物がつっささった。
・・・んぇ?
顔を動かすのも怠い私は目だけそっちに向けた。
そこには茶色い髪。
私の頬には誰かの指か。
郁斗だ。
まぁ、普通に考えたら郁斗なんだけどさ。
「・・・なに。」
私はこれ以上ないくらいの低音で言った。
郁斗は眉間にシワをよせて何やらこっちを見てくる。
私はその視線に不快感を抱く。
・・・だから何なの。
私は鼻からため息を吐く。
「おまえ、肌荒れすぎ・・・!
どうやったらあんな肌が一気にこんなになんだよ・・・!?
何食った?」
「覚えてない。てか春雨くらい。」
「洗顔は?」
「してる」
「スキンケアは?」
「・・・してないかも」
「睡眠時間は?」
「・・・気付いたら朝になってた。」
「おま、それヤバいぜ。
ビタミンちゃんととれよ馬鹿め。
食えねぇならせめてみかん一個とかよー。
睡眠時間ないとかありえないかんなおまえ・・・!」
後で食いもん買ってきてやっから、
と郁斗は私の髪を撫でた。


